2022年08月15日
【研修会報告】 摂食嚥下障害の基礎知識Ⅰ 摂食嚥下障害を診る上での基礎となる"解剖・生理"を理解しよう!
今年度第4回目となる愛知県歯科衛生士会研修会が7月24日(日)に開催された。
今回は「摂食嚥下障害の基礎知識Ⅰ 摂食嚥下障害を診る上での基礎となる"解剖・生理"を理解しよう!」というテーマで、朝日大学歯学部摂食嚥下リハビリテーション学分野の谷口裕重先生にご講義いただいた。
午前は、"解剖・生理"に関する基礎知識の話から、摂食嚥下障害に対する「代償的アプローチ」である姿勢調整や食具の選択、食事介助の方法などについて、症例や臨床現場での動画を提示いただきながら、説明いただいた。
午後は、①嚥下と咀嚼嚥下は別で評価すること、②摂食嚥下障害を起こしている原因は何であるかを見極めPLP、PAPなどの装置や代替栄養法などの導入を考えること、③治療的介入方法として、理論に基づいた摂食嚥下訓練を選択していくためには"解剖・生理"を理解することが重要であることの3つを要点として、講義が進められた。
最近ではキュアよりケアが重視される傾向にあり、これによって「食べさせること」を優先とする考え方もある。「口から食べさせるという事は大変重要なことではあるが、摂食嚥下機能の解剖、生理の基礎を押さえた上で、どのように対応していくかを選択することが必要である。」と言われた先生の言葉が頭から離れない。本日のテーマである摂食嚥下の"解剖・生理"について、しっかりと自分の中に落とし込んで、臨床に生かせるようにしていきたい。
例年、摂食嚥下の研修の受講者は、病院や施設に勤務されている方が多かったが、今年度は診療所に勤務の方が半数以上であり、一般診療に関わる方たちの関心度が高まっていると感じた。口腔機能低下症の評価が保険診療で拡大されたこともあり、今後もさらに多くの診療所勤務の歯科衛生士が受講してくれることを期待したい。
地域歯科保健委員会 理事 近藤三千代